【田中泰延&チョッピーの「面白い話をしよう」】第3回 :お互いの起業について

田中泰延&チョッピーの面白い話をしよう アイキャッチ田中泰延&チョッピーの「面白い話をしよう」

こんにちは。ふらとぴ編集部チョッピーです。

前回のふりかえり

第1回とは打って変わってインタビューらしいインタビューが出来ているチョッピー! 泰延さんからインタビューと発信について金言を頂けたぞ! 今回もこのままの調子で行けるのか!? どうにも行けなそうなサブタイトルだけど頑張れチョッピー!

前回の記事はこちら↓

お互いの起業について

独立後のお金について

チョッピー:さっき失業保険の話が出ました(本連載第2回参照)が…

田中泰延:はい。

チョッピー:僕、まだ失業保険もらえてないです。

田中泰延:マジで!? もらった方がいいですよ。

チョッピー:会社を辞めてから、すぐこの仕事をやり始めたので…。

田中泰延:あ、そうか。

チョッピー:その場合は再就職手当があるんですけど、なんか独立の場合はちょっとややこしいみたいで。必要な書類がそろわないんですよね。事業の売上を証明する契約書とか持って来いって言われてて。そろそろ揃うんですけど。

田中泰延:なるほど…。僕も2年目はなんかちょこちょこちょこちょこ書いたヤツだけで…。2017年ゼロ、2018年の所得は納税額の源泉徴収をみたらわかるけど、納税したのが22万円くらいだから、たぶん、200万くらいしか…つまり2年間で200万しか収入が無かったんですよ。

チョッピー:キツいですね。

田中泰延:その間、どうやって家族が生きているかと言えば退職金を崩しているだけなんですよ。だから、それはどっかで覚悟するしかないですよね。

チョッピー:そうですよね…。

田中泰延:この間もOIC創業祭で独立後の売上とかについて質問されてましたもんね。

OIC創業祭:立命館大学主催のイベント。チョッピーと泰延さんはこちらで初対面。詳細は本連載第1回を参照ください。

チョッピー:そうなんですよ。あそこ、OIC創業祭…結構、和気あいあいとした空気だったじゃないですか。その中で、僕、一人だけ危機感が違う質問をしてしまった気がしていて…。

田中泰延:みんな、なんかね、前を向いて行きましょう! みたいな感じでしたけど…。

チョッピー:「もうちょっとで僕、死んでしまうんですけど」みたいな。

田中泰延:「終わってしまうんです」みたいな。

泰延さんの事業について

チョッピー:泰延さんは会社を辞めた後の事はやめてから…という事で、辞められて。

田中泰延:はい。

チョッピー:昨日(3月17日)会社を登記されたんですか?

田中泰延:そうなんですよ。

チョッピー:どういう会社をやられるんですか?

田中泰延:出版社です。紙を中心とした。

チョッピー:電子書籍は出さないって事ですか?

田中泰延:出すけど、出すんだけど、意外とね、自分の本が16万部売れてみると、電子の割合がめっちゃ少ないんですよ。

チョッピー:あ、そうなんですね。

田中泰延:うん。紙がこんなに…正味なところ9割くらいあると思いますよ。

チョッピー:そうなんですね。

田中泰延:ていうことは、やっぱり本が売れる時ってのはみんな紙で欲しいんやなって思って。あと、出す方も「私、本書きましたー。買ってくださいー。電子書籍だけで販売になります」ってやっぱり嫌だと思うんですよね。本屋が減ってるとか色々あるんですけど、それでもやっぱり本を買ってる。

チョッピー:うーん。

田中泰延:でね、本屋が減ってるって事は、俺、そんなに憂うべき事ではないと思っていて。おっきい本屋があれば大丈夫なんですよ。そこに行くから結局は。まぁ、おっきい本屋も減ってるから問題なんだけど。それ以上におっきい規模のところはAmazonがあると考えて。もちろん電子もやるんだけど、紙を中心に考えてる。

チョッピー:それは…自分の本を出されるんですか?

田中泰延:ううん。自分の本は自分のところで出さない。

チョッピー:あ、そうなんですね。

田中泰延:言われた事しかやりたくないから。

チョッピー:ははは(笑)

田中泰延:なんで自分の会社で自分の本を…。誰が俺に本を書かせるの?と。編集者がいないと書かせられないから、僕は。

チョッピー:そういう事ですか(笑) じゃあ、誰か別の人の本を出される…という事ですか?

田中泰延:はい。で、誰の本を出すんですか…というところは何も決まっていない。

チョッピー:そうなんですか。

田中泰延:そう。何も考えてない。僕は何も考えてない。計画がない。

チョッピー:そんなことは…。いや、ちょっとわかんないですけど。

田中泰延:みんなね、さっきのインタビューの話(本連載第2回参照)もそうだけど「なにかこの人、今、こういう計画があって、それをちゃくちゃくちゃくと実行して、こうなったに違いない」と思ってるんですよ、みんな。でも僕には無いから。

チョッピー:なるほど。

田中泰延:広瀬すずは小学生の頃から広瀬すずになろうと思って、ちゃくちゃくちゃくと広瀬すずになったわけじゃないんですよ。気が付いたら広瀬すずなんです。

チョッピー:ははは(笑) 僕もそこは非常に共感します。というのも、僕もビジネスプランなんて固まってない状態で起業していますので。なのでビジネスプランも現在進行形でドンドン変わっていってるんですけど。

田中泰延:うん。

泰延さんの志と小学生の計算

チョッピー:泰延さんがその中で自分の本ではなくて、他のどなたかの本を出したい…紙として出したいと思われたのは、どうしてなんですか?

田中泰延:あのー…この間のOIC創業祭で出口さんにもこの起業の話を相談したんですけど、出口さんがあそこで言われていた起業に大切な「志と小学生の計算」。まず志があって、その志を数字にする事は小学生の計算だと。この2つがあれば起業は出来るハズと。

僕の志は「紙の本は意外と売れるし、出したい人も多い。じゃあそれを実現しよう」というモノ。で、小学生の計算…そろばんは何かと言ったら、印税2割…という事なんですね。

チョッピー:印税2割。

田中泰延:印税。僕も本を売ってみてわかる。今の印税は売上の1割だけ。これ、少なくね?という。消費税と一緒ですか?と。国は本を書いてないのに俺と同じだけ金を取るのか、消費税10%という形で。

しかも俺の印税10%は、まず源泉徴収された状態、つまりすでに1割引かれた状態で振り込まれ、そこから所得税を30%だの40%だの払い、住民税を10%払い、残ったお金を使ったら消費税を払い、最終的にはもはや本の定価の3%くらいしか残っていない。これはおかしくないか、と。

チョッピー:そうですね…。

田中泰延:1冊の本を書きました。最終的にたくさんベストセラーになって売れても、僕の預金通帳に最後、1年後に残るお金は売上全体の3パーセント。おかしくないですか?っていう。

チョッピー:そうですよね。書くの、辛いですからね。それだけ頑張った挙句に3%しかもらえないというのは…。なるほど。そこを変えたいから、というか、それで2割もらえるようになれば、今の3%の人たちよりも喜ぶ人が増えるから…というところでやられてるんですか?

田中泰延:はい。本を書くという…出すということが、みんな、そんなんやったらもう…noteに書いて課金してもらって100円、200円の方が全然いい。だって1500円の本が売れて、俺に入ってくるお金75円だから。そしたらnoteで100円チャリンとか、500円入れてもらう方がよっぽどいいわけですよね。

チョッピー:そうですよね。

田中泰延:それだと、結局、そっちに走っていくと、紙の本を出したい気持ちは満たされないし、実は紙の本でもホントにいい本を書いたら飛ぶように売れる…という感覚は味わってもらえないので。それは印税2割にすれば解決するのではないか…と。それもね、2割というのは最低ラインで、もっと売れたら3割4割、最終的にはベストセラーになったら5割にしようと思ってるんです。「累進課税」ならぬ「累進印税」。

チョッピー:うーん。

田中泰延:で、小学生の計算としては紙の本の印税を2割にしても原価率は10%しか上がらないんですよ。

チョッピー:うーん?

田中泰延:だから本が…1000円の本が今まで印税100円のモノが印税200円になったって、倍とは言え、10%しか上がってないわけですよ。いや、計算おかしいかも知らんけど。

チョッピー:本の原価を印税とすると、そうですね。確かに。言われてみると。

田中泰延:でも、今まで何故なかったのか。それは、ふたつの側面があって。まずひとつは本という事業がめっちゃ儲けてるからですよね。講談社、集英社、小学館。巨大なビルに何千人という社員がいて、不動産いっぱい買って。巨大化した会社を支えるために、明治時代くらいに決めた10%を守り続けてるというのがある、

もうひとつは売れない本をいっぱい出すから。重版かかるくらい売れる本って1割くらいしかないんですよ。

チョッピー:はぁー…そうなんですか。

田中泰延:初版3000部です!と言って、で、その初版3000部の本が売り切れました! じゃあ、もう一回印刷しましょう! おめでとう! というのは10人いたら1人だけなんですよ。それくらい本って売れないんですよ。

チョッピー:なるほど…。じゃあ、アレですね、結構…結構というか、そうなんでしょうけど、環境としては非常に厳しい業界に挑まれるワケですね。

田中泰延:うーん…でも、俺、厳しいと全然、思ってないのね。

チョッピー:あ、そうなんですか。

田中泰延:つまりそれは、小学館とか講談社とか集英社は、たくさんの何千人の社員が、何千品という本を出すから、そうなるんですよ。

チョッピー:なるほど。その中で、今後は数も減っていくでしょうし、減っていく中で価値のある本を出していけば売れるのではないか…という事ですね。

田中泰延:うん。そう。だから、まぁ、ものすごく属人的な仕事ではありますよね。

チョッピー:そうですよね。それこそ先ほど言われたnoteみたいなプラットフォームでやっていくという形ではないので、すごいやっぱ…手間暇かかりますよね。それをやるのは。

田中泰延:うん。そう。

チョッピー:それはやっぱその…noteみたいな、先ほど言ったインターネット上とかに記事を書いて100円で売ります…みたいなやり方とは違うところがあるから、手間暇をかけても紙の本でやられるという事ですか?

田中泰延:これ、チョッピーさん、考えてください。

チョッピー:はい。

田中泰延:いまこれ、例えば、チョッピーさんが毎日書いておられるヤツが結構、人気出てきて。毎日5000PVくらいあるとして。「おー、毎日5000PVやー!」と。それと「これ、1000部くらいしか売れなかったんですけど僕の著書なんです」と言うのと、どちらが嬉しいですか?

チョッピー:あー、それは確かに紙の本の方が嬉しいですね。

田中泰延:そうなんですよ。

チョッピー:なんでか、と言われるとちょっと説明が出来ないんですけども。なるほど。嬉しさ…ですね。

田中泰延:これなんかね、人間の根幹的な事があって。紙の本は無くならないし、新聞だってなくならないですよ。紙と人間の付き合いってすごくあると思う。それと、結局、勝手にアップするネット記事と違って、原稿から編集、校正、デザイン、印刷、書店に並ぶまでの過程で、すでに「複数の人に価値を確認されている」という人間の尊厳の問題があるんですよ。

チョッピー:なるほど…。あと、これはやっぱりアレですかね。「著者の方に今よりも強い喜びを与えたい」という気持ちが泰延さんにあるんですかね?

田中泰延:うーーーーん…。ま、それよりも「構造全体を改革したい」という気持ちがちょっとあるんですよね。

チョッピー:あ、出版業界の?

田中泰延:うん。

チョッピー:それは…先ほど言われたように、いろんな会社がたくさんの本を出している状態じゃなくて、価値ある本を少なく出すような状態にしていきたい…という事ですか?

田中泰延:まぁ、それしか出来ないやろうしね。

チョッピー:はー。

田中泰延:俺がさ、出版社でさ、今、立ち上がったばっかりやけど、1年目に、とりあえず売れそうもないけど10冊出して1冊当たったらいいか…という戦略は取れないワケですよ。

チョッピー:うーん、なるほど。セレクトショップじゃないですけど…そういう…高品質なモノを少数だしていく形の…。

田中泰延:うん。逆に言うと、本に低品質なモノがあるっていうことがおかしいんですよ。

チョッピー:あー、まぁ、確かにそうですね。

チョッピーは扇情的な煽り文句があまり好きではない

田中泰延:今、そうなっちゃってるんですよ。本屋行ってください。ゴミみたいな本がいっぱいあるでしょ。なんか人生論みたいなところに『馬鹿は殴って逃げろ!』みたいな本がいっぱいあるじゃないですか。

チョッピー:ありますね。

田中泰延:『アホは馬鹿にしろ!』みたいな。何言ってるんだ、みたいな。

チョッピー:ありますね。『読みたいことを、書けばいい。』にも書かれていましたけど、なんか、そういう扇情的なタイトルというか『バズる!儲かる!WEBライティング』みたいな。

田中泰延:僕の初めての著書『バズる!儲かる!WEBライティング』ね。

田中泰延 著「バズる!儲かる!WEBライティング」吹聴社(※実在しません)
田中泰延 著『バズる!儲かる!WEBライティング』吹聴社(※実在しません)

チョッピー:今って、なんか、本に限らずそういう扇情的なモノが求められてるのかな…という気が少ししていて。「暗澹たる気持ちになった」と書かれていましたが、僕もそれは少しあって。

田中泰延:うん。

チョッピー:僕もTwitterに顔出しで「チョッピー」という公私ともに使っている名前と、あと、プロフィール欄にも一応、本名は書いているのですが、そういう状態でもTwitter上に文句を書いてしまう時があって。まぁ、その時は大抵その…情報商材系に嫌気が差してる時なんですよ。

田中泰延:あぁ、そうねぇ…うーん…。

チョッピー:「なんなんだ、その月収で煽って人を呼ぶやり方!」っていうのが。凄くアレが嫌でして。

田中泰延:うーん。

チョッピー:でも、やっぱ、そういうのに人が行くんだな…という現実もあって。

田中泰延:よく思うんだけど、情報商材ビジネスを馬鹿にしてる人がパチンコ行ってたりして、なんかそれもおかしいですよね。情報商材ビジネス以前に「あなた、何もしないで金儲けようと思ってない?」とか。

チョッピー:そうなんですよね、僕もその…そういうやり方を否定する気持ちもありつつ「でも、僕より彼らの方が納税してるんだよなあ」とか考えたり。

田中泰延:おっしゃる通り(笑) それはあるなぁ。儲けとるなぁ。

チョッピー:そうなんですよね。

田中泰延:ただ、アレが巷にあふれとるからって、アレが求められてるんじゃなくて…。なにか「一回それで儲かった」という成功事例があったら、バーンとそこに人が集まる…という事が起こってるんでしょうね。それはしょうがないよね。

受験以外に成功のための方法論なんて無い

チョッピー:成功事例という話だと、僕も泰延さんも会社を辞めて起業したわけですが。

田中泰延:はい。

チョッピー:僕、ビジネスで成功するためには「出来ること」と「求められていること」と「稼げること」の全てが満たされている必要があるのでは…と考えていて。さらに、会社を作るってのは結構「人のため」というところも、もちろんあると思うんですけど「我を通したい」というところも強いのではなかろうか…と僕はちょっと思ってるんですよ。

田中泰延:ほー。

チョッピー:「自分が世の中をこう変えたいから起業する」というところが結構、あると思っていて。そういう「やりたいこと」と「出来ること」と「求められていること」と「稼げること」の全てを実現させるためにはどうすればいいか…みたいなところで泰延さんの考えられている事があれば、是非、教えて頂きたいです。

田中泰延:ないよー。

ないよー
ないよー

チョッピー:あ、ないですか。

田中泰延:僕には「印税を2割にしたら、いや、最終的には5割にしたら、世の中変わるんじゃないか」というなんか甘い夢があるわけ。で、まず会社っていう入れ物を作って登記したわけじゃないですか。でも、実際、本を1冊作ってみたら「あれー? 計算したらやっぱり著者には10%しか払えない…。10%に抑えないと倒産するんだ」ってなるのかもしれない。

チョッピー:そうですね。

田中泰延:そうなんですよ。わかんないですよ、それは。しかも大手みたいに100冊、本出して、2・3冊ヒット本が出るのは、もう、これは抗えない社会の統計学的事実なんだ…となったら。

チョッピー:はい。

田中泰延:もう、終わりじゃないですか。

チョッピー:そうですね…。

田中泰延:だから、なってみるしかない。

チョッピー:そうですね、なってみるしかないですね。最初から「これをすれば、それが狙えるはずだ」というのはわからないですよね。

田中泰延:それわかってたら、僕、20年前にもうやってます。成人した時に、30年前にやってます。学校出た瞬間にそれやってますよ。

チョッピー:そうですね、確かに。それがわかってたら、みんな起業するって話ですよね。

田中泰延:そうなんですよ。それを上手いこといった人が「こうこうこういう狙いで僕は成功しました」と今は言いすぎなんですよ! 社会が。

チョッピー:はい。

田中泰延:だからみんなそれが「そうかぁ…」って。じゃあ、全員が孫正義ですか、って。全員がジェフ・ベゾスになりますか、って。なれないよ。

チョッピー:そうですよね。

田中泰延:成功の方法を逆算するのがおかしいっていう事に、みんな、なんで気が付かないのかな?

チョッピー:うーん。

田中泰延:例えば、こういうケース。宝くじの一等が当たった人の「私は新橋駅のなんとかセンターで2時30分に買ったから当たったんです」というインタビューがあって。それを見たみんながそこで2時30分に買ったら当たると思う?という話ですよね。そんな程度ですよ。

チョッピー:そうですよね。あんまりそこに再現性はたぶん無いですよね。

田中泰延:ない。もし広瀬すずが「え、私は小学生の頃から今の様な女優になるのに努力しましたよ」って言うのを観て「そっかぁ」という親が、それを小学生の娘に教えたら、その子は広瀬すずになりますか?という話ですよ。

チョッピー:ならないでしょうね。ならない事が多いでしょうね。

田中泰延:そうでしょう? だからね、みんなこれ、再現性を求めすぎ。社会が。で、最も再現性がある、楽勝なモノって今の日本では受験なんですよ。だって、何点かとったら合格出来るんだから。東大だって京大だって。

チョッピー:そうですね、確かに。

田中泰延:なーのーに! その時には、その受験というすごく再現性の高いハードルを、バーを越える事を考えずに、後になって、安易に考えているだけなんですよ。

チョッピー:確かに言われて思いましたけど、大学受験で頑張って、大学に…まぁ、よく言われる表現で言うと良い大学に行って、良い会社に勤めるっていうのが、それもまぁ、今は崩れていっていると言われていますけれども、再現性っていう考え方で考えると、たぶん、今でもその生き方が、一番、再現性は高いような気が僕はするんですけど。

田中泰延:はいはいはい。

チョッピー:なぜかあまり世の中的に、その生き方は好まれない…ような風潮が今はある気がします。なんででしょうね?

田中泰延:ふふふ。嘘だからですよ。

チョッピー:あ、嘘だから。

嘘なんだ
嘘なんだ

田中泰延:決まってるじゃないか、嘘に。それが本当に良い生き方じゃないのであれば、来年から財務省に入ってくる人ゼロですよ。

チョッピー:ふんふんふん。

田中泰延:そうでしょう? 東大を出て財務省に来る人が激減しました! 世の中の風潮もここまで来たか! ならないから。

チョッピー:なるほど。

田中泰延:つまり、夢破れた人がそういう風にワンワン言ってるんですよ。そのハードルを飛び越えられなかった人が「あの生き方はもう時代遅れだよ」って言ってるだけなんですよ。

チョッピー:今でもやっぱり、その生き方が一番メジャーだと。

田中泰延:うん。辞める事だって自由なんだから。

チョッピー:そうですね。

田中泰延:騙されちゃいけない。だから受験はメッチャ大事。んで、僕がいつも言ってんのは、そのあと人生成功するのか幸せになるのかは置いといて。それは不確定性のモノだから。大学に合格するかしないかはハッキリした再現性がある。テストで何点か取ればいいんだから。

チョッピー:確かに。おっしゃる通りだと思います。

田中泰延:じゃあ、そんなわかりやすい指標があるのに、何故、世の中はもっと「いや、受験が一番大事でしょ」とか「30歳過ぎても東大入ればいいんじゃね?」って言わないのか。

チョッピー:そうですね、確かに。

田中泰延:何故『成功する24のメソッド』といきなり迷走から始めるのか。東大に30歳からでも入ろうよ。だって、高校出てさ、6浪して東大入る人いるんだよ。という事は30歳から東大入ったっていいじゃない。

チョッピー:僕の前職の野村総合研究所の同期にも、大学院で博士号を取ってから入社してるヤツとかいたので…新卒入社の時点で33歳とかでしたね、そいつ、確か。

田中泰延:でしょ?

チョッピー:僕、当時22歳だったんですけど「コイツと同期なのかよ。ズルくない? 勝てないでしょ」って思いましたね。

田中泰延:一回りくらい違う(笑)

チョッピー:なんでその道は人気がないんでしょうね?

田中泰延:しんどいから(笑)

チョッピー:あー…。頑張りたくない(笑)

田中泰延:だから、「こうすれば成功する」とか「成功者の話を聞こう」という本とか物言いが全部、パチンコ必勝法とそっくりなんですよ。

チョッピー:なるほど、そういう事ですね。アレかなぁ、皆さん、その、100%確実に当たるラッキーパンチを求めてるって事なんですかね。

田中泰延:そう。そんな球、もう当たるわけない。100%確実なのは勉強すれば東大に入れるという事だけですよ。だから本屋の自己啓発とか生き方メソッド本のコーナーには、東大合格法…赤本がバーッと並んでないといけないんですよ、本当は。

チョッピー:そうですね、それが正しい意味での自己啓発ですよね。

田中泰延:全然、正しい。だって、たとえば今までずっとボヤっとしてた人が40歳になりました、と。その人は中卒です。でも、高検とって、大検とって、東大入った。で、東大出たのが44歳でも、それでも人生変わるよ。絶対変わると思いません?

チョッピー:思います。その年からそれが出来るっていう時点で価値もありますしね。

田中泰延:そうなんですよ。だからね、それを考えると、いかにそのパチンコ必勝法的な本がおかしいか…という…。

チョッピー:今、そのパチンコ必勝法がスゴい額でnoteとかで売られてたりしますからね。2万円とかで。すごいですよね。

次回予告

不穏なサブタイトルに反して、今回もとてもいいお話だった…。でも、全然、インタビューじゃない! 完全に対談! チョッピー、もう全然、インタビュアーに徹する気ないじゃん! でも、面白いからそれでもいいのかもしれない! このままの勢いで突っ走ってしまえ!

いやが上にも高まる期待! 次回「ひろのぶと株式会社」。お楽しみに!

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