【今日の山頭火さん】第11回:2月10日の山頭火さん

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February 10,2022 #11 89 years ago 2月10日の巻 月へいつまでも口笛ふいてゐる
2月10日の山頭火さん
2月10日の山頭火さん

山頭火さん、今は旅の途中ではなく、庵を結び『其中庵』と名付け住んでいます。

生まれ故郷のほど近く、山口県小郡(現在山口市)です。

昭和8年2月10日の一句、

月へいつまでも口笛ふいてゐる

この日は、月の句を五つ詠んでいます。よほどいい月だったとみえます。

調べました。昭和8年2月10日、満月です。澄んだ冬の夜空に満月です。

『月へいつまでも』とありますから、ほぼ満月頃と見当はつきますね。三日月だと日没の後、二時間ぐらいですぐ沈みますから、月に口笛を吹いていられるのは二時間ぐらいです。後は夜空に吹くことになります。満月ならオールでいけます。

ただ、『夜に口笛を吹いてはならない』という言い習わしが昔からあります。蛇が出る、なんて言われています。色々と言われがある様ですが、なるべく禁止したい行為なのだと思います。

山頭火さん、そういう事気にしないタイプではありそうですが。この時代だと結構タブーな事だったんじゃ無いでしょうかね。

夜通し口笛を吹いていた山頭火さん。

いつまでも吹いていたという事は、楽しくてそうし続けたとしても、淋しくてそうし続けたとしても、そこには山頭火さんの眠れぬ夜があったということです。

興奮醒めやらぬまま眠らなかったとしても、あれこれ思い悩み眠れなかったとしても、仕事が終わらず眠れなくても、眠らない事の根っこには不安があると私は思っています。人は不安を抱えると、眠ることがとても難しくなるのです。

この夜、山頭火さんの心の中にも、不安という月がぽっかり浮かんでいたのかもしれません。

その口笛は、山頭火さんにとって、オオカミの遠吠えの様なものだったのかも。

いつまでも口笛吹きましたか。そうですか。どんなメロディーですか、流行りの曲ですか、幼い頃聞いた歌ですか。

そいう言えば、蛇でましたか。出ませんか。冬は蛇、冬眠してますものね、そうですか。

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