【今日の山頭火さん】第52回:10月5日の山頭火さん

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October 5,2023 #52 93 years ago 10月5日の巻 旅は気軽い朝から唄つてゐる
『今日の山頭火さん』第52回で利用する画像です
10月5日の山頭火さん

昭和5年、山頭火さんは、宮崎県の油津町にいます。日南辺りを旅しています。

天気は日記によると晴れ。そんな日の一句です。

旅は気軽い朝から唄つてゐる

なにを唄っているんでしょうか。

なにを歌っているにしても、ご機嫌さんですね。

昭和5年だと、宝塚歌劇団『すみれの花咲く頃』とか、『祇園小唄』などが発表された年です。

私、どっちも、知ってます、出だしだけならどちらも、ちょっと歌えます。

名曲ってそういうものですね、きっと。

山頭火さんが、すみれの花咲く頃を、鼻歌で口ずさみながら歩いている。

想像すると、ちょっと面白いです。

鼻歌で思い出した記憶があります。

昔、オートバイで旅をしていた頃の話です。

雨の中、海沿いの道を、バイクで走っていました。

雨足がどんどん強くなります。

ヘルメットのシールドをぬぐっても、ぬぐっても、前が見えなくなってきました。

シールドの内側も自分の息で曇ってきます。

地名もわからないまま、通りがかりにあった宿に、急遽、飛び込みました。

夜も遅く、食事は提供できないとのことでしたが、泊まることにしました。

とりあえず、荷物を解き、熱いシャワーで温まりました。

近くに食事ができる店がないか、宿の人に聞いたのですが、近くに食堂などは無いとのことです。

今のように、どこにでもコンビニがある時代ではありません。

ただ、少し先に、スナックがあって、簡単な食事ぐらいは出すとの話です。

宿で傘を借り、さらに強まる雨の中、足元をびしょびしょにしながら、教えられた方角へ向かいました。

店はすぐ見つかりました。

ドアを開けた時、女主人の鼻歌が聞こえてきました。

それは、今まで聴いた中で、一番悲しい鼻歌でした。

山頭火さんの、晴れた空の下で口ずさむ、呑気な鼻歌の真逆です。

歌は上手に歌えば歌うほど、感情が伝わると思いがちですが、実は、鼻歌の方が感情が自然にのりやすく、感情がはっきり伝わると思っています。

もう少し、書きたいこともあるのですが、長くなってしまいました。
続きは、また機会があれば。

耳に残っていますか、そうですか。

その声は、どこから響いてきますか。

過去からですか、未来からですか、どちらもちがいますか。

そうですか。

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