【ど素人店長、ネットショップでさをり織りの布を売る】第6回:市美展とダウン症

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大変ご無沙汰しておりました、ド素人店長ぢーこです。

ご無沙汰していた間に、私の運営するネットショップ『コースタ814』の作家Sさんが、敦賀の「市美展」に参加されました。

Sさんのお母さんが、手芸やお裁縫といったモノ作りが大好きな方で、よく地域のこういったイベントに出展されていらっしゃるのです。
Sさんの織ったさをりを、かわいいのれんやテーブルウエアに仕上げて、おうちで使われているのを拝見したこともあり、今回はどんな作品になったのかと楽しみにしていました。

かわいいのれん
かわいいのれん

今回は、その「市美展」の様子と、作家Sさんの近況をお伝えしたいと思います。

市美展とは?

敦賀市文化協会が主催する「敦賀市総合美術展」の略称が「市美展」です。

一昨年は感染症拡大防止措置のため中止されていましたが、昨年につづき、今年も無事開催され、264点の美術作品が会場となったプラザ万象に展示されていました。

市美展

どうでもいい豆知識ですが、プラザ万象には、大人の「二宮金次郎」の銅像があります。
小学校の校庭で、薪を背負って本を読んでいる子ども時代の二宮金次郎はよく見てましたが、大人は初対面です。
大人になった彼は、本は読まずに積んでいます。これが、どれくらいご本人に似ているのか知りませんが、偉くなると本を買うお金はできても、読む暇がなくなるので、子どものうちに本を読んでおきなさい、という教訓が込められているのかな、と思いながら写真を撮らせていただきました。ぱちり。

二宮金次郎像

さて、市美展に話を戻します。

Sさんのお母さまから
「あなたも何か出さない?」
と気軽にお声掛けいただいたので、公民館の作品展くらいの気軽さで応募していいものなのかと思っていたら公募要項にこう書いてありました。

公募要項_審査内容

事前審査があり、入賞、入選者以外の作品は展示されないという、厳しい審査のある美術展だったのです。どっひゃあ。

勘違いして、下手の横好き手芸品「がま口財布」などを出品しなくて本当によかった、とあとから胸をなでおろしました。

がま口財布
がま口財布

市美展には、絵画、造形、日本画、水墨画、デザイン、版画、彫刻、工芸、書道、写真と10部門にもわたる作品が展示されており、たいへん壮観です。

ずいぶん展示が多岐にわたっているのだなあと思っていたら、主催の敦賀市文化協会は、敦賀のアート団体の総元締めで、華道、茶道、俳句、民謡、和太鼓から、上に挙げた10部門を網羅する56団体を束ねている巨大組織(令和4年4月1日現在)なのでした。

これを41回も開催してきたなんて、すごい統率力と実行力です。

Sさんの作品

Sさんの作品はどこにあるのかと探していると、工芸の展示室にありました。

Sさんの作品

おおお!見事に「福井新聞社賞」を受賞されています。
明るい赤を基調にした、元気でポップな印象ですね。

アップで見るとこう。

じつは、Sさんは、以前にも市美展での受賞歴があり、その時の作品がこちらです。

Sさんの過去の作品

搬入作品には、サイズの制限があり「縦横1.8m 重さ20㎏以内」と決まっています。
ですから上と下の作品は、枠の外側のサイズは同じです。

お気づきでしょうか?

そうなのです、Sさんは、だんだんと幅広の生地を織らないように変わってきました。

かつては、細い糸を使って、繊細で薄い幅広のストールやマフラーも織っていらっしゃったのですが、

過去のSさんの作品2

今、Sさんが織る布は、糸を複数本まとめて厚みを出した、巾3~5㎝のものばかりになりました。

Sさんのさをり織り

コースタ814で売りに出している布も、狭い幅がほとんどなので、手芸作品にどう生かしたらいいのか、サンプルを作るときに悩むこともあります。

コサージュにするとか、ストラップにするとか、布をつないでスヌードにするとか、試してはいるのですが、長さも足りないことが多く、つなぎ合わせても作品にできないこともしばしばです。

(つなぎ合わせスヌードの作り方はこちら

このまま布を素材として販売をするのは、ちょっと厳しくなってきたので、今後コースタ814をどうしていくか、思案中です。

短い布のかわいい使い方をご存じの方、ぜひ、アイデアをいただけたらと思っています。こちらのアカウントのDM までよろしくお願いします。

Sさんの今

ところで、友人知人に障害を持つお子さんを育てているお母さんが多いため、私は、Sさんが子どものころ、どんな風だったのか、時々、Sさんのお母さまに伺うことがあります。

先輩お母さんのお話は、あとから来るお母さんたちの役に立つと思うからです。

Sさんには、2歳下に妹さんがいらっしゃり、お母さまは2人を双子のように育ててきたのだそうです。幼児期のダウン症児は発達がゆっくりなので、2歳差があっても、あまり気にならなかったのでしょう。

以下、お母さまのお話。

生後一か月後、金沢の病院で染色体の検査をし、ダウン症との診断を受けました。

さあこれからどのように育てていくか悩みました。

あの頃は、障害のある子どもに対して、あまり窓口が無く、普通の子どものように習い事をさせてやりたい。

成人になり、他人様に迷惑を掛けず、親亡きあとも、お世話してくださる方々にかわいがっていただけるように、素直な子どもにと望みました。

習い事は親子三人で、習字、スイミング、なぎなた、ピアノ、言語教室に通いました。

すべて障害児の受け入れは初めてでした。

その甲斐があって19歳の時、群馬県で行われた障害者国体に水泳で出場し入賞しました。なぎなたは、県の大会に私とペアで演技に何回も出場しました。

我が家はSの体のことを思って、いつも料理は手作り、家は奇麗にと心がけておりました。すべて一人でやった方が早いのですが、のちのことを考えて一緒にしながら教えました。

今は、片付けも料理も一通り何でもこなし、きれい好きなため、家の中を整えてくれています。

穏やかで優しい性格のSさんは、何でも真面目に取り組むため、誰からもかわいがられる大人になりました。
育てたように子は育つ、というのは本当だなあと思います。

そのSさんに、今、老いが迫っています。ダウン症の人たちは、幼少期の発達はゆっくりでも、老化のスピードは人より早いのだそうです。

40代後半に差し掛かろうとしているSさんの肉体年齢は、今、60代後半くらいなのでしょう。
ゆっくり歩き、ゆっくり話し、これまでできていたことが、できなくなったことも多々あるのだとか。

すっごく正直に書くと、私は元気な人が老いていく姿を見るのが怖いのです。

それが、自分の親族であっても、他人であっても、仲良くなった人たちが、毎日少しずつ衰えていくのが恐い。

たぶん、自分の年齢的に「死ぬこと」を真剣に考えざるを得なくなり、もう逃げられないぞ、向き合え、と追いつめられている気がして怖いのだと思います。

お気楽に始めたネットショップで、なんだか意外な弱点を突きつけられて、戸惑っている今なのでした。

(まあ、なんやかんや元気なんですけどね。)

ぢーこ運営ECサイト:コースタ814

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コースタ814は、もともと仕入れている数が少ないので、月末が近づくと、在庫がないことがよくあります。申し訳ありませんが、そんな時は布を見るだけでお楽しみください。

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