こんにちは。チョッピーです。
先日、以下の記事を書きました。
この記事のレビューをふらとぴ編集部内部でお願いしたところ横道それ夫より以下の感想を頂きました。
スポーツもそうですが、一流の感覚が理論として確立されていくと、一気に周りのレベルが上がっていきますよね。カラオケでも、最近は難しい歌が増えすぎて、新曲を習得することがままならなくなってきました……。
確かに…。僕はそんな事をまったく考える事無く無邪気に「デスボイス・シャウトの発声方法の研究が進むと、練習の参考になるから嬉しいな!」と考えていたのですが、おそらくそれって以下の様な結果を招くんですよね。
- デスボイス・シャウトの発声方法が理論的に解明される
- それを習得するための方法論が確立される
- デスボイス・シャウトに興味がある人が「2」の方法論を活用して練習を始める
- デスボイス・シャウトを習得している人の絶対数が増加する
- デスボイス・シャウトを習得している人の間で競争が発生し全体のレベルが上がる
- デスボイス・シャウトを習得している人の淘汰が始まる
- 少数のデスボイス・シャウト熟練者のみが生き残る
「1」の時点では恐らくまだ「全体的な質・量ともに低レベル」なので「少し練習した程度の人でもなんとかなる世界」であったものが「7」の時点になると「それに人生をかけたものだけが生き残る世界」に変質しています。「牧歌的な世界が修羅の国になってしまった」と言ってもよいでしょう。
僕の個人的な印象としては「1」は「プレイヤーは楽しく、聴いてる人はそうでもない世界」であり、7は「プレイヤーの一部は極めて楽しく、それ以外のプレイヤーにとっては過酷。聴いている人は大多数が極めて楽しい世界」である様に思えます。
これはデスボイス・シャウトの世界に限った話ではなく、多くの事象に関して同じ流れが展開される話だと言えるのではないかと思います。横道それ夫の言葉を再度、引用します。
一流の感覚が理論として確立されていくと、一気に周りのレベルが上がっていきますよね
これが僕が言うところの「1」~「5」の世界の説明であり
カラオケでも、最近は難しい歌が増えすぎて、新曲を習得することがままならなくなってきました……。
これが「6」~「7」の世界に生きる人々の感想なのかもしれません。実際、横道それ夫のセリフ内の「カラオケ」と「新曲」を皆さんの関心のある世界の言葉に置き換えても通用すると思いませんか?
少し脱線しますが、昔、なにかの本で「テクニック」と「テクノロジー」には以下の違いがあると書かれていました。(本の題名が思い出せません。スミマセン)
- テクニック:個人のスペシャリティに依存した技術
- テクノロジー:テクニックを理論的に解明し、誰でも習得可能な状態にまで分解した技術
この言葉を使うと、今日の記事で書いた内容は「テクニックがテクノロジーに変化する際に必ず発生する普遍的なモノ」であると言えるのかもしれません。
この世界が到来すると、そのテクノロジーにより恩恵を受ける人…端的に言うとお客さんにとっては喜ばしい事しかありません。生産者側に競争原理が発生し「高いクオリティーの商品を安価に味わえるようになる」ためです。しかしながら、それと反比例するように生産者側には「過酷な競争」という苦難が重くのしかかってきます。
この世界を生き抜くためには生産者は以下の2つのたゆまぬ努力を続けていく必要があります。
- テクノロジーと化した技術を常にキャッチアップして知識として仕入れていく努力
- 「1」で仕入れた知識を身に付け、活用する事が出来るようになるように自分を鍛える努力
このたゆまぬ努力を永続的に続け結果的に「勝者」として君臨したモノだけが、この世界を生産者として生き抜く事が出来ます。さらに、努力の成果が結実するスピードは人によって異なります。適正というモノですね。「適正×努力」の両方が伴った場合に初めて人は「7の世界における勝者」となれるのです。これはなかなかに厳しい世界です。
さらに「敗者」となってしまった人に厳しい現実として、現在の世界は「テクノロジーと化した技術の機械による自動化」が容易になってきています。それにより「勝者の品質には及ばないけど、価格や量で勝負!」という「敗者の戦略」が取れなくなってきている様に思えるのです。「価格や量の世界で機械に勝てる人間」はあまりいないと思われるためです。
この様な「全てが一流と機械によって成り立つ世界」で「一流ではない人間」はどの様に生きていけばよいのでしょうか。ひとつのヒントは上述した「テクニック」と「テクノロジー」の違いにあるのかもしれません。
テクノロジーは一般化した技術です。対してテクニックは個人のスペシャリティに依存した技術です。個人個人のテクニックに依存した生産活動が出来れば、もしかするとテクノロジーを活用した生産活動のアウトプットには無い魅力を発揮する事が出来、それにより生き残りを図れるかもしれません。簡単に言ってしまうと「差別化戦略」や「ニッチ戦略」という一言に集約されてしまうのですが…。(前者はプロダクトや技術の違いに着目した考え方で、後者はターゲット層の違いに着目した考え方なのでひとくくりにしてしまうのは乱暴だとは思いますが)
本日もふらとぴに訪問頂きありがとうございます。
今回の記事は横道それ夫のコメントのおかげで書く事が出来ました。この場を借りて謝辞を述べさせて頂きます。ありがとうございました!