【今日の山頭火さん】第61回:2月8日の山頭火さん

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February 8,2024 #61 93 years ago 2月8日の巻 トンネルをぬけるより塚があつた
『今日の山頭火さん』第61回で利用する画像です
2月8日の山頭火さん

山頭火さん、長崎市芒塚町を島原半島の方に向けて旅しています。

トンネルをぬけるより塚があつた

松尾芭蕉の弟子、長崎出身の向井去来の句碑を訪ねています。

日記によりますと、山頭火さんが句に詠んでいるトンネルは、日見隧道とのことです。

調べてみますと、現在では高速ができ、新しいトンネルが開通しています。

山頭火さんが訪れた、文化財に指定されている、江戸時代建立の句碑も、高速の建設に伴い移転しています。

今では、古いトンネルを通る人も少なく、ひっそりとしているのではないでしょうか。

トンネル。

なにか、薄気味悪いというか、嫌な予感がするというか。

何なんでしょうあれ……でも、入りたくなるんですよね。

トンネルの向こう側、なにかが起こりそうですし。

国境の長いトンネルを抜けたら雪国だったのは、川端康成さんの小説に出てくる島村さんですね。

トンネルを抜けたら、神様の国で、どえらい目にあったのは、『千と千尋の神隠し』の千尋さんですね。

ずいぶん昔のことですが、私もどこに続いているか分からない、真っ暗なトンネルに入ったことがあります。

冷んやりとした空気のなか、どんどん歩き、反対側にやっと出た。

と思ったら、入った側に戻っていた。

ということがありました。

トンネルを抜けた後、入口も出口も同じような感じだな、と思いながら歩いていたら、自分が来た道を戻っていたことに、ずいぶん歩いてからから気づきました。

行きと帰りだと、同じようだとは思うものの見る向きが逆なので、案外気づかないんです。

目印があっても普通に見落とします。

とても不思議な感じだったのですが、よく考えてみれば、別にオカルトでもなんでもなく、暗いトンネルで、ポケットから鍵を落とした事が原因でした。

落ちた時に、鍵につけていた鈴がチリンと鳴り、その音に驚いて慌てるという情けないことになりました。

鍵を手探りで探す間に、方向を見失い、入った方に向かってしまったようです。

あのまま、トンネルの向こう側に抜けれていたら、どこについたのでしょうか。

妙なところに辿り着くなら、元の地点の方がいいとも言えますが、どこか妙なところに辿り着きたい気もします。

因みに、鉄道や道路のトンネルは入り口と出口が決まっているそうです。

起点に近い方が入り口、新幹線だったら、東京側が入り口です。Wikipediaに書いてありました。

ということは、大阪から東京へ新幹線で移動する時は、いつも出口から入っているということですね。

出口だと知ってしまうとなんか、むずむずするなぁ。

素敵なトンネルですか、そうですか。

どんなトンネルも、抜けて振り返れば、素敵なトンネルです、ちがいますか。

出口が見えませんか、そうですか。

それは、トンネルではなく、穴ではありませんか、ちがいますか。

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