【Daily Choppy !】第276回:東京の夕焼け・遠く遠く

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こんにちは。チョッピーです。

今回の記事について

今回はチョッピーがふと思い出した過去を独白します。

本文

今から13年前の2007年2月中旬、僕は東京・足立区舎人のマンスリーマンションで人生初の一人暮らしを開始した。東京で就職活動を行うためだ。当時、僕は21歳。大分県別府市で生まれ、就活を始めるまではその土地を出る事無く暮らしていた。

僕の出身地である大分は九州の地方都市だ。多くの九州出身者には九州最大の都市である福岡に対して特別な思い入れがある。福岡が自分の生活圏における最大の都市であり、東京・大阪などの大都市は精神的には違う国の都市と言ってもいいくらいの距離がある。

僕は就活を始めるまで、福岡にもほとんど行った事がなかった。福岡に遊びに行くたびに天神の街並みに圧倒されていた。九州内ですらそんな有様だ。九州を出た事なんて本当に片手で数えられるくらいしかなかった。

そんな僕が何故、いきなり東京で就活をしようと思ったのだろうか。明確な理由なんてない。

大学3年生の後半、就活を考え出した頃から「せっかく日本に生まれたのに東京を知ることなく生きるのはもったいないのではないか」という考えが自然と頭の中に生まれた。その考えに従い就活開始と同時に足立区舎人に拠点を構えただけだ。

ちなみに足立区舎人は確かに東京ではあるのだがハッキリ言って東京都心よりも埼玉の方が遥かに近い土地である。「東京を知る」という目的を達成するために住む場所としては、それほど適切ではない気がする。

だが、当時の僕にそんな事がわかるはずがない。「東京 マンスリーマンション」で検索を行い、適当に出てきたマンションの中で家賃が一番安いモノを選んだ結果、舎人で暮らす事になっただけだ。

舎人での一人暮らしと、就活は、とても楽しかった。見るモノ、感じるモノ、全てがそれまでの僕の人生と違うモノだった。

マンションの近くのスーパーに売っていた別府では見た事のなかったメーカーの醤油、JR竹ノ塚駅までのバスでの道程、駅に響く電車の到着を告げるメロディー、電車内のどことなくけだるい人々の顔、猥雑な五反田駅の近辺、想像よりもかなり小さかった原宿駅、何故かどうしても小田急側に行ってしまう新宿駅、そのサザンテラス口に鳴り物入りで日本に進出してきたクリスピークリームドーナツ、そこに並ぶ人の群れ、大雨にも関わらず水たまりに飛び込み土下座して女性を呼び込む歌舞伎町のホスト、「DVDあるよ」と声をかけてくる怪しげな小男、どこに行っても目に飛び込む巨大なビルの群れ、富士そば、日高屋、そして沢山の人、人、人…。

そこには僕が産まれ育った別府には存在しない世界があった。それが良いモノなのか、悪いモノなのか…それを判断するだけの知識も経験もない僕には、ただ、それをありのままに受け入れ、日々、感動して生きるより他に取れる術はなかった。

僕は、東京に出て初めて、別府での生活にとてつもない閉塞感を感じていた事を知った。東京には、別府にこびりついていた僕を苛ませる全てが無かった。東京には、別府には無かった僕が必要としている全てがあった。

別府が悪い土地だなんて言うつもりはない。現に34歳の現在の僕にとっては別府は天国の様な土地に感じられる。山と海に囲まれた、世界でも有数の湧出量を誇る多量の温泉を有する、食事の美味しい土地だ。素晴らしい。でも、当時の僕が必要としていたのは、それではなかった。それだけの話だ。

2007年に就活を行った僕は同年代の就活生と同様に非常に運に恵まれていた。2006年からリーマンショックが発生するまでの2008年の間の3年間の就活は、団塊の世代の退職による人手不足の穴埋め需要により空前の売り手市場となっていたのだ。

たまたま時勢に乗れた僕は希望通り東京本社の会社に就職する事が出来た。配属された場所は横浜だったのだが、別府出身の僕からすれば勤務地が東京か横浜かなんて些末な問題である。そこは東京圏だ。そんな気持ちで2008年の4月を迎えた。

会社の寮の自分の部屋に入り、荷物を片付け、お風呂を沸かしながら一息ついていると、突然、猛烈な孤独感に襲われた。

僕は、今、まったく知らない土地で、たった一人だ。これから、ここで、僕だけの力で生きていくんだ。

その瞬間になるまで、自分がそんな気持ちになる事があるなんて想像もしていなかった。でも、あの瞬間、僕は僕として誕生したのだと思う。

とても長い独白になってしまった。信じられないかもしれないが、ここまで書いてきた内容は全てback numberの「東京の夕焼け」および槇原敬之の「遠く遠く」という曲の感想だ。

とはいえ、ここまで書いてきた事にフィクションはひとつも入っていない。全て僕の実体験だ。「東京の夕焼け」と「遠く遠く」という2曲を聴くたびに、僕には、あの頃の気持ちが全く色褪せずに蘇ってくる。そして、今日も、自分自身であるために生きていこうと思わせられるのだ。

本日の締め

今回はback numberの「東京の夕焼け」を聴きながら、心の中に浮かんできた気持ちを特に推敲せずに書き殴ってみました。何を伝えたいのかは自分でもよくわからない文章になりましたが、楽しんで頂けたなら幸いです。

本日もふらとぴにお越し頂きありがとうございます。

知らない世界に後先考えずに飛び込むのは、無条件に良い事だと僕は思っています。

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